フィルムセンター「カナダ・アニメーション映画名作選」と、徒然日記

しばらくブログの更新をしていなかった間に、フィルムセンターで今週スタートするカナダアニメ特集の詳細がHPにアップされましたね。
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2009-3/kaisetsu.html


その企画上映会情報カナダ・アニメーション映画名作選は、

NFBから生まれた傑作群にインディペンデント作品や長篇作品を加え、1941年から1985年までの作品計100本の上映を通してカナダ・アニメーション映画の歴史を系統的に回顧する
 (フィルムセンターホームページより引用)
というものだそうで、海外の一国のアニメの歴史をそれこそ体感できるような作品数、しかも35mmですから、これは見逃してはならない企画です!


次回上映会の作品をちょうど決めていた頃、同時期にフィルムセンターでカナダ特集があるらしいという話を耳にして、お客さんがそちらに大挙するのは当然のことにしても、せめて作品だけはかぶらないように・・・ということを気にしていたのですが、やはり、1本だけかぶってしまいました。


フレデリック・バックの『クラック!』。
しかも35mmであの大スクリーンで観られるとは・・・


前回上映した『ザムザ氏の変身』のキャロライン・リーフの代表作『ストリート』と、同じく上映した『シュッシュッ』と、コ・ホードマンの代表作である『砂の城』の上映もありますね。
それから、私が観たことあるものとして、ノーマン・マクラレンの『いたずら椅子』('57)。これは、天邪鬼な性格を持つ椅子と、体操のお兄さんのような格好をした若者が繰り広げる、ついつい笑ってしまう不思議なやりとりなのですが、これは短篇にしかできない世界で、すごく面白いですよ!!


ちなみに、FILMRONICの上映会が始まるちょうどその頃、シネマテーク・ケベコワーズ学芸員のマルコ・ドゥ・ブロワ氏(アニメーション部門プログラミング/保存担当)による「カナダ・アニメーション映画の歴史とシネマテーク・ケベコワーズの活動」についての講演があるそうです。
なんていうか、私がそれを聞きに行きたいんですけど・・・(T T)


でも、我慢して(笑)ちゃんと上映会やりますので、早稲田でいいよ、という人は、ぜひお越しください!

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・・・と、ここからは脱線なのですが、しばらくブログを放置していた間、何をしていたかというと、先週、久しぶりの一人旅に出ておりました。


大阪と京都に行ってきたのですが、目的はふたつ。
テニスのワールドカップともいえる「デビスカップ」観戦と、大山崎山荘美術館で先週日曜日まで開催されていた「さて、大山崎 山口晃展」に行くことでした。


年末にたまたまWOWOWで、今話題の錦織圭くんの特番を観てから突如テニスにはまってしまい(といってもやったことはありません)、グランドスラム全豪オープンや、彼が出場した試合を観ているうちに、なんだかどんどんテニスにはまっていきまして、ちょうど行こうかどうか迷っていた山口さんの個展と時期が重なっていたので、久しく国内旅行にも行っていないことだし、行ってしまえ!ということになった訳です。


年初の試合で痛めた肘の調子がなかなか回復せずに、今は我慢の時期を迎えているようですが、それでも生Air-Kも観られたし、TVで観るのと生で観るのとではやはり迫力が全然違う!
やりもしないのに、記念に大会使用球を買ってしまいました(笑)
(ちなみに、私はプレイをしないテニスファンですが、ファンもプレイヤーであることが多い日本は、世界的に見ると珍しいんだそうで、各国では野球やサッカーと同じく、観戦を楽しむスポーツとして認識されているんだそうです)


それから、山口晃さんの個展。これも素晴らしかった!
山口さんの作品のファンになってから2年弱になりますが、パッと見、伝統的な大和絵の手法を取りながらも、描く世界は現在と過去(そして未来)がごちゃ混ぜで、発表する作品も俗に言う絵画的なものから、漫画、スケッチ、立体作品など、見るものを飽きさせないどころか、自分の知らない世界へと誘われつつもクスっと笑ってしまうような、色んな要素が詰まっていて、見ていて本当に飽きないです。


彼の絵を見ていると、毎回、「いつか所有してみたい」と思ってしまいます(笑)


画家の絵とは、一体どれぐらいで買えるものなんですかね。


まぁ、そんな感じでリフレッシュしてきました。

3/20上映作品の絵本を入手しました

次回の上映作品について色々調べている中で、
いくつかの作品に絵本があることが分かりました。


もともとレイモンド・ブリッグズが1978年に発表した絵本を元に
している『スノーマン』は当然のことなので、詳しくは省略。
『クラック!』は、映画化された後に監督の夫人であるギレーン・パケン=パックが
テキストを付けて絵本化。日本語版も1987年に出ています。


つい先日、この2冊を入手したのですが、
早速読んでみると、この2冊には大きな違いがあることが分かりました。


もともと絵本が先に出版されていた『スノーマン』は、
アニメ化に際して、絵本では描かれていないシーンが多く登場、
映像化によってスケールが増し、人物の表情などもより豊かになったことで、
より感情移入がしやすくなったように思います。


一方で、映画を元に絵本が作られた『クラック!』は、
映画のストーリーそのままに展開していきますが、
映画では分からなかった動きやシーンに対する説明が加わり、
作品の世界を事細かに理解できるようになっています。
(流れる歌の意味が分かれば、理解度も全然違うのでしょうが・・・)


小説や漫画が映画になることはよくありますが、
原作と映画版との比較については、なかなか興味が尽きないもので、
原作になまじっか思い入れがあると、映画の方を正当に評価できないところも
あったりもしますが・・・


もし絵本版をお持ちの方がいたら、当日前に一度読み返しておくと
上映会をより楽しめると思います。


今回の作品の中で、あとは『山の音 琴の詩』の絵本はあるような
気がしますが、まだ見つけられてはいないので、引き続き調査するとして、
上の2冊は当日会場に持って行こうと思いますので、
待ち時間の間にでもよかったら読んでみてください。


スノーマン (児童図書館・絵本の部屋)

スノーマン (児童図書館・絵本の部屋)

クラック!

クラック!

「つみきのいえ」アカデミー賞 短編アニメーション賞受賞!、と、次回上映作品決まりました!

FILMRONIC2009-02-23




おくりびと」がアカデミー賞で最優秀外国語映画賞
受賞したことはみなさんご存知かと思います。


が、同時に短編アニメーション賞も日本の作品が受賞しましたね!


加藤久仁生監督作品「つみきのいえ
http://www.robot.co.jp/tsumiki/


カンヌでもベネチアでも何でもそうですが、
日本国内では日本の作品がどうしたこうしたとばかり大きく取り上げられがちですが、
それでも受賞はやはり素晴らしい!

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そんな嬉しい話題に隠れて極々ひっそりと、
3/20(金・祝)に行う次回上映会の作品が決定しました。


さっき仕事から帰ってきてそれを確認したばかりなので、
これから数日かけてもろもろ準備をします。


今週中には作品タイトルと会の詳細をお知らせできればと思います。


とはいえ、今週は久々に仕事のビッグウェーブが訪れており(笑)
夜どれだけ時間を割けるだろう・・・

"Walking In The Air." (The original version from "The Snowman" with Peter Auty)

FILMRONIC2009-02-21

イギリスの作家レイモンド・ブリッグズが1978年に
発表した絵本「スノーマン」。
ストーリーはよく知らない人でも、この温かな彼の表情、
いでたちを知らない人はいないでしょう。


1982年にアニメ化され、イギリスではクリスマスイブに放送されたんだそうですが、この劇中、少年とスノーマンが手を取り合い空へと飛び立つ印象的なシーンで使われているのが唄ピーター・オーティ、演奏シンフォニア・オブ・ロンドンによる「Walking In The Air」です。


ここ東京ではこの話のように一面が雪に覆われることなどないものだけど、私はいい年したすっかり大人であるが、世界のどこかではこの話のように名もなき子どもが雪の妖精(まぁ森でも何でもいいんだが)と大空を飛んだりしているのではないか・・・と信じているふしがあったり(笑)




We're walking in the air
We're floating in the moonlit sky
The people far below are sleeping as we fly


I'm holding very tight
I'm riding in the midnight blue
I'm finding I can fly so high above with you


Far across the world
The villages go by like trees
The rivers and the hills
The forests and the streams


Children gaze open mouth
Taken by surprise
Nobody down below believes their eyes


We're surfing in the air
We're swimming in the frozen sky
We're drifting over icy
Mountains floating by


Suddenly swooping low on an ocean deep
Arousing of a mighty monster from its sleep


We're walking in the air
We're floating in the midnight sky
And everyone who sees us greets us as we fly


I'm holding very tight
I'm riding in the midnight blue
I'm finding I can fly so high above with you

骨休め 〜あんな犬、そんな犬、こんな犬

FILMRONIC2009-02-17


いつも世界の面白サイトを教えてくれる職場の人が、
またしてもものすごいページを見つけてきました。
http://animal.discovery.com/tv/groomer-has-it/pimp-your-pooch/pimp-your-pooch.html


暇つぶしにはもってこいです。


ホントは3人分の画像があるのだけど、うまく小さいサイズで
並べられなかったので、とっておきの1枚だけご紹介しましょう。

つながるクリエーション

アンケートによると、ご来場くださった多くの方が『ザムザ氏の変身』を衝撃を持って受け取られたようです。


世界の子ども達のことは分かりませんが、日本人でかつて砂遊びをやったことがない人なんてあまりいないでしょう。
それだけ身近であるけれど、それで実際に造形するのではなく平面のキャンバスであれだけ立体的に、縦横無尽な空間世界を生み出そうなんて普通の人は思いつかない。


3作品のどれも素晴らしいものだけど、目から鱗という意味ではやはりザムザが抜きん出いているのではないかと個人的には思います。


そういう感覚は、我々一般人だけでなく、実際にアニメーションの世界で活躍している人も例外ではないようです。
ご来場くださった方が後日書かれたブログに、ザムザの影響を受けているアニメーターについて書かれているものがありました。


佐藤竜雄(アニメーション監督・演出家)(*1)が選んだ「フィルムが作りたくなる20本」
http://www.style.fm/as/04_watch/watch06_1.shtml
(この作品について特に言及がないのが残念ですが・・・)


アニメーター・イラストレーター・キャラクターデザイナー福島敦子さん(*2)は、
学生時代に『ザムザ氏の変身』を観て、なんと小麦粉を使って自分でも試してみたのだとか。
http://www.style.fm/as/01_talk/fukushima01.shtml


そして、砂アニメーション作家の飯面雅子さん(*3)は、
この『ザムザ氏の変身』の影響で、その道を志した方なんだそうです。
http://www.nurs.or.jp/~sug/exp/ani8hist/talk.htm


人の人生を変えるような出会いは、本だったり人だったりあるいは映画だったり人それぞれ違うのだろうけど、そういう初心に立ち返れるものや場所がある人は、いざという時に強さを持っていたりする気がします。


ちなみに、非常に個人的なことになりますが、
私にはその出会いがおそらく3つあって(ちょっと多すぎか?)、そのうちのひとつは大島渚の『戦場のメリークリスマス』ですかねぇ。
何度も何度もビデオで観た後に改めて映画館で観た時の激しい後悔というかショックというか、その感情が自分の映画との関わり方を決めたような気がします。

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*1 佐藤竜雄
 代表作は『飛べ!イサミ』『機動戦艦ナデシコ』『学園戦記ムリョウ』『宇宙のステルヴィア』など

*2 福島敦子
 アニメーターとしての代表作は『金の鳥』『Manie-Manie 迷宮物語』など。
 近年はゲーム「ポポロクロイス物語」のキャラクターデザインが有名。

*3 飯面雅子
 彼女の作品のひとつ、「すなえあそび」を観ると、前半部分に『ザムザ氏の変身』からの
 影響を強く感じ取ることができる。
 (ネットで動画を見られるので、興味のある方は探してみてください)

無事終了、どうもありがとうございました!

随分遅くなってしまいましたが、上映会無事終了しました!
お越しくださった方、本当にどうもありがとうございました!

来場者は全部で19名、
お子さんや年配の方もいらしてくださいました。


何より有難かったのは、ご来場くださった方のほとんどが
アンケートにご協力くださったことです。
今までの職歴の中で、イベントの企画や宣伝をやったことは
あるのですが、当日の会場運営については劇場やイベント屋さん
任せで、実は始めての経験でした・・・。


下見だけでは思い及ばなかったことを色々ご教示いただきまして、
本当に参考になりました。


開場までの段取りや暗幕効果の向上など、すぐに改善できることも
多そうなので、改めてアンケートを見直しつつ、
少しずつよい会にしていきたいと思います。




あと、改めて思ったのですが、やっぱりフィルムというのは
いいものですね。
人によってはすぐ後ろでガーガーやってるのが気になる人も
いるのかもしれませんが、16ミリや8ミリは後ろで映写機を
回しながら観るべきであるような気がするというか、
そういうものって、多くの大人が子どもの頃に経験したことの
ある (と想像する)映画の原情景なのではないかという
気がするんです。


プリントの状態が殊の外よかったことにも助けられましたが、
今回のような「素材」「色彩」などを見せる作品については、
やはりフィルムでなくては、本当の意味で「観た」とは
言えないのではないかと私は思っています。


近頃各地の視聴覚ライブラリーでは16ミリの保管をやめる
ところが出始めているようですが、なんとかうまく保存して
活用していければいいのだけど・・・。




FILMRONICとは、新しい発見や人との出会いを映画を通して
生み出していくという、私が映画に対して信じている力を
実に見事に表現している言葉です。
今後回を重ねて、作品だけに頼らないそれに少しでも近づける
ような、質のいい上映会にしていこうと思っております。




次回は3月20日(祝)に同じくパフスペースで行います。
http://www.pafspace.com/index.html
詳細はこれからですが、次回もまた短篇アニメにするつもりです。

今回来てくださった方も来れなかった方も、
ぜひご来場お待ちしております!!